男の中な男
カズが、読売ヴェルディ時代に、 甥っ子連れてサッカー場行った時の事である。
カズは当時、絶大な人気だった。
あれだけ人気なんだからきっと天狗にでもなっているんだろうなと思っていた。
試合が終わり、甥っ子が、どうしてもカズのサイン欲しいと、言いだすものなので、
近くに居たヴェルディーファンに「どうしたらもらえますか?」と聞いたら
チームバスで来ていたら、それに乗り込む時にもらえるかもしれませんよと教えてもらったので、
そこに連れて行ってもらった。するとカズが現れた。
前の方にいた甥っ子と自分は、 周りの黄色い声に、圧倒されてたじろいでいた。
そして甥っ子は、怖くなって色紙とサインペンを持ちながら泣いていた。
そしてカズが、前を通り過ぎようとしていた。 勇気を振り絞って甥っ子が、色紙とサイン
ペンを一生懸命差し出したのだが、 近くに居た、ギャルっぽい女が甥っ子を押しのけて、
サインをもらおうとしたその時、
「小さい子供いるのが見えないのか?」
と女に言い放ち 自分の甥っ子の頭をなでて、 満面の笑顔で
「大きいサインあげるから泣かないで」
と、 色紙いっぱいにサインしたのだ。